薬剤師を目指す人にとって、平均年収は将来を見据えたキャリア設計の重要な指標です。
国家資格を必要とする医療職である薬剤師は、世間からは高収入のイメージを持たれがちですが、実際はどうなのでしょうか。
本記事では、薬剤師の平均年収について紹介します。
薬剤師の平均年収について
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」にて、薬剤師の平均年収は「577.9万円」と公表されています。
国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」では、日本の給与所得者の平均年収が「460万円」と公表されているため、薬剤師は比較的年収が高い職業の一つといえるでしょう。
ただし、性別や年齢によっても平均年収は異なります。
【薬剤師の男女別の平均年収】
- 男性:622万5,600円(平均年齢41.0歳)
- 女性:542万7,800円(平均年齢39.7歳)
女性薬剤師の平均年収が男性より低くなる要因としては、産休や育児休暇、復職後の時短勤務といったライフプランにともなう働き方の変化が影響しているためといわれています。
年齢については、一般的に年齢(経験)を重ねることで年収が増加していく傾向にあるでしょう。
例えば、20~24歳の平均年収は「男性:398万2,800円、女性:334万2,400円」ですが、55~59歳だと「男性:763万3,300円、女性:695万7,700円」と公表されています。
平均年収が最も高いのが55~59歳のゾーンであり、60歳以降は定年によって勤務形態が変化するなどで平均年収が下がってしまう傾向にあるようです。
勤務先や勤務エリアによって年収は変動するのか?
あくまでデータ上ではありますが、勤務先によって平均年収が大きく変動することはないようです。
厚生労働省が令和4年に公表した「薬剤師の偏在への対応策」に関する資料では、65歳まで働くことを想定した場合、常勤の病院薬剤師は「2億3,280万円」、薬局薬剤師は「2億2,768万円」で生涯年収の差額は512万円と、全体からみるとそこまで大きな差異はありません。
対して、勤務するエリアは、地域によって平均年収に差が見られます。
「令和5年賃金構造基本統計調査」での、薬剤師の平均年収が高い都道府県(1~5位)は下記表のとおりです。
順位 | 都道府県 | 平均年収 |
1位 | 広島県 | 706万円 |
2位 | 秋田県 | 681万円 |
3位 | 宮城県 | 673万円 |
4位 | 鹿児島県 | 645万円 |
5位 | 鳥取県 | 630万円 |
なお、大都市圏である東京都は23位、大阪府は11位、愛知県が10位となっており、平均年収は地方のほうが高い傾向にあります。
この要因は「薬剤師の地域偏在」や「人材の流動性」が関係していると考えられており、地方は薬剤師の不足により平均年収が高めで、都市部ほど薬剤師の数が多く競争が激しいため年収が低めに設定されているようです。
そのため、これから薬剤師への就職・転職を検討されている人は、地方での勤務を選択肢の一つに入れてみるのもよいかもしれません。
まとめ
薬剤師の年収は、性別・年齢・勤務エリアなどさまざまな要因で変動します。
政府から公表されているものはあくまで平均年収であり、最終的には勤務先で年収が異なることを理解しておきましょう。
もし、就職や転職を検討している人は、複数の求人情報を比較し、よりよい就職先を見つけることが大切です。