調剤薬局と薬剤師の業務内容と役割

薬剤師

医薬分業が進み、街中で多くの調剤薬局を目にするようになりました。それでも、調剤薬局がどのような業務を行なっているか、深い内容は意外と知られていません。

こちらでは、調剤薬局の業務内容や、そこで働く薬剤師の役割について取り上げます。

調剤薬局の業務内容

調剤薬局は保険薬局ともいわれ、保険調剤を取り扱うことができます。保険調剤とは、保険医療機関が患者である保険者に処方箋を交付した際、その処方箋を調剤薬局が受け付け、指定された薬を提供することです。薬を提供したときに患者から一部負担金を徴収し、審査支払機関に調剤報酬請求を行なうことで残りの7割が支払われる仕組みです。

調剤薬局の多くは、医療機関の近くで開業しています。厚生労働省が平成31年3月に行なった「かかりつけ薬剤師・薬局に関する調査報告書」によると、実に55.4%がクリニックの門前や門内、15.7%が病院の門前あるいは門内で開業していたことがわかります。

立地は調剤薬局の役割にも影響します。たとえば、クリニック近くにある調剤薬局は、診療科目が限定されるため、特定分野の専門知識やノウハウを習得できます。病院にほど近い調剤薬局は、幅広い診療科目の知識が必要です。患者数も多いため、状況の把握に努めるとともに、スピーディーな対応も求められます。医療モール近くの調剤薬局は、患者が同じモール内のクリニックを複数利用することがあり、患者それぞれの薬歴を把握しやすくなります。

近年は、かかりつけ薬局として機能する調剤薬局も出てきています。医療機関を限定せず、患者に合わせた保険調剤業務を行なうのが、かかりつけ薬局の特徴です。

調剤薬局で働く薬剤師の業務内容と役割

調剤薬局で働く薬剤師は、薬を提供する患者に対して服薬指導を行なったり、服薬状況を把握したりすることに努めます。

まず、処方箋受付の段階で、患者から保険証やお薬手帳を預かり、内容を確認します。その際、アレルギーや薬の副作用の有無、既往歴や併用している薬についてのアンケートを実施します。

調剤を行なう前には処方箋の内容を監査し、懸念事項がある場合は発行した処方医に問い合わせます。確認すべき事項がクリアになった段階で、薬の調剤に入ります。

複数の薬が処方されている場合は、飲み忘れを防ぐため、一回に服用する薬を一包にまとめることもあります。患者に薬を渡す前に、別の薬剤師と交代して最終確認を行ない、ヒューマンエラーを防ぐことも重要です。

患者に薬を渡す際には、症状を確認しながら、薬の効能や副作用、服用方法を説明します。また、薬の特性によっては保管方法を指示します。処方した薬の調剤・指導内容は薬歴簿に記載して保管します。

調剤薬局で働く薬剤師は、服薬状況を処方医にフィードバックする役割も担います。

まとめ

保険調剤を行なう調剤薬局は、おもに医療機関の近くで開業しています。医療機関の規模や形態により、調剤薬局の役割や求められることは異なるようです。

調剤薬局で働く薬剤師は、薬を提供する患者に対して、継続した服薬指導や服薬状況の把握に努めます。また、処方箋を交付した医師に服薬状況をフィードバックする役割もあります。

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